全面公開 !! LRVらっくる2号機搬入を生で見た

  道内でも、つい最近まで「懐かしいもの」の代名詞であった      関東以北初のLRVらっくる号誕生から早くも3年の月日が…
  路面電車。そのイメージを大きく変えた函館市電へのLRV
  らっくる号(9600形)導入から早くも3年の月日が流れた。
  それでも、まだ1本では毎回利用できるレベルには到底及ば
  ない。私の周囲にもまだ、利用したことの無い市民を見かける。

  そこでこの春、ついに待望の2本目が登場することになった。       到着した2号機に次々と機器を取り付ける
  しかも今回はただ増備するだけでなく、その機会をとらえた
  様々なイベントも設定され、市民のみならず、全国にその存在
  をアピールすることになった。

  中でも特筆されるのは、事前に公募された参加者が新車両が
  本州のメーカーから到着し、車庫内へ運び込むまでの作業の   幾重にも包装された2号機の顔は白く雪化粧…
  一部始終を間近で見学することができるという、「搬入作業
  撮影会」の実施であった(参加費3,000円 昼食代込)。これは
  全国的にも例を見ない試みである。

  3月1日朝7時半。まだ厳しい寒気が残る中、駒場車庫へと急いだ。
  まず、受付では安全確保のため、各自に白いヘルメットが配ら
  れて緊張感が高まる。しっかりと着用して構内の奥へと進むと、     トレーラーから転車装置へとつなげられた道筋
  朝日の中に照らし出された巨大なトレーラーと、その背中に
  載せられたLRVらっくる2号機の姿が浮かび上がった。

  前日のチリ地震津波の影響で到着が遅れ、つい1時間程前に
  着いたばかりだったそうで、早速、搬入へ向けた作業が始ま
  った。                              いよいよトレーラーから一歩を踏み出す

  まず、本体と別に運ばれてきた電車の部品などを車体の屋根
  に取り付ける。巨大なクレーンでパンタグラフやクーラーなど、
  次から次へとありえない物が宙を舞い、それを車体の屋根に
  登った作業員の方々が手際良く取り付けた。

  約1時間程で終了すると、私たちは少し離れた場所にいたカラ
  オケ電車「アミューズメントトラム」へと案内された。今回、         仮設レールをゆっくりと、しかし確実に、「歩む」2号機
  これが休憩所や昼食会場代わりを務めるという。

  朝から身を切るような寒気の中にいたので、暖をとれる場所
  は本当にありがたい。それがめったに会えない貸切車両なの
  だからなおさらだ。交通局からは暖かい缶コーヒーの差し入れ
  まであり、自然と参加者同士で会話も弾んでくる。

  外では2号機を車庫へと運び入れる準備が続いていた。まず、
  構内で電車の向きを反対にする転車装置を作動させ、そこに       ついに転車装置の上へ 函館への第一歩が記された
  鉄骨で組まれたやぐらのような仮設レールをつなげていく。

  これに先程のトレーラーを接続させることで、2号機をレール
  づたいに滑り降ろすのだという。まるでNゲージの鉄道模型を
  地でいくかのようだ。

  トレーラーがこちらまで移動してきて、作業が始まる。初めて
  全景を見てとれた2号機の顔は、前夜の雪で真っ白に雪化粧して
  いた。車体全体が様々なビニールやテープで幾重にも「包装」      「大先輩」に手を牽かれるようにして車庫内へ
  されている。作業員の方々は接続するレールと少しのズレも
  生じさせないよう、何度も何度もトレーラー位置の微調整を
  繰り返し、最後は地を這うようにしてまで、確認を終えた。

  正にプロの仕事現場を垣間見る思いであった。

  接続が完了すると2号機からワイヤを延ばし、別のトラックで
  それをけん引。いつしか関係者も参加者も思いを一つに固唾       車庫内の作業台へと案内される参加者たち
  を飲んで見守る中、実にゆっくりと、しかし確実に、2号機が
  仮設レール、転車装置へと進んで、いや「歩んで」いった。

  ようやく転車装置の上に収まると、参加者からも拍手や歓声
  が挙がる。実に作業開始から約3時間。ついに函館への第一歩
  が記された瞬間だった。

  レールの上に載せられた2号機は大先輩の旧型電車に手を牽か        作業台からの2号機の屋根上 真新しい機器が輝く
  れるようにして、車庫内へ。搬入作業自体はこれでほぼ終了
  だが、イベント自体はまだ続く。今度は参加者が順番に作業
  台へと案内され、到着したばかりの2号機の屋根上を間近で
  見学することができる。

  作業台に上ると、今朝取り付けられたばかりのパンタグラフや
  制御機器が人知れず、静かな輝きを放っていた。

  終了後、参加者を乗せたアミューズ号は昼食会を兼ねた遊覧         1号機導入の際の秘蔵映像も必見!!
  運行?へと繰り出す。車内では今年末に予定されているレトロ
  電車「箱館ハイカラ号」の100周年を記念した特製弁当が振舞
  われた。

  明治時代の函館の名物を再現したという、かなり凝った内容で、
  ボリューム感も満点。谷地頭までの往復1時間半の間、参加者
  たちは舌鼓を打った。

  車内のモニターでは3年前の1号機が導入された際に撮影された
  交通局秘蔵の資料映像も流され、 こちらも必見。

  中でも夜間に初試運転が行われた際、各所で行われた建築限界       貸切電車内にて振舞われた特製「箱館ハイカラ号弁当」
  の測定作業(JRでいうオイラン車検測)の模様には、私も驚かさ
  れた。同乗された交通局の方の説明によると、終電直後から
  明け方までかけて入念に行われたそうだ。LRV誕生の影で人知
  れぬ苦労の連続があったことが、今さらながらにしみじみと
  感じられた。

  ともかく今回は充実の内容で、大満足のイベントであった。
  緊張する現場を公開していただいた交通局や、運送会社、
  車輌メーカーの皆様にはこの場をお借りして、厚く御礼を申し          ハイカラ号弁当は味もボリュームも満点
  上げる。

  2号機はその後、順調に調整・試運転が行われ、3月24日(水)
  から運行を開始した。次回は運行開始の模様と、代わって引退
  する旧型電車についてご紹介したいと思う。

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