帰ってきた自転車列車から始まる夢
高速道の値下げもあって、行楽地への足はマイカーに
なりがち。便利だが、温暖化が加速しないか心配になる。
ならば、環境に優しい鉄道で行こうにも、駅から先の足が
無く、徒歩か限られた連絡バスしかない。
せめて自転車でもあれば…こんな経験をされた方は多い
ことだろう。
もう、10年ほど前のことだが、自分の自転車をそのまま
列車に積み込んで、行楽地へ向かう臨時列車が道内各地で
試行されていたことがある。
私も利用したことがあり、大変快適だったのだが、手間が
かかるのか、知名度不足だったのか、そのうち姿を見せ
なくなってしまった。
ところが、その自転車列車がこの夏、突然函館に帰ってくる
ことを知った。NGOフォローザウィメンはこだて(以下FTWと略)
が主催する「大沼えこらいど」ツアーに合わせて一日限り
の運行が実現するという。中東地域を自転車で走り、世界
平和を願うことをテーマとしている団体で、今回は一般
の市民にも自転車の楽しさを知ってもらおうと、企画された。
思いがけず、訪れた約10年ぶりの自転車列車との再会。
驚きと期待を胸に、私は当日、小雨模様の函館駅へと
向かった。参加者は函館駅前に集合した後、駅横の業務用
通用口から駅構内へ誘導された。10年の間にバリアフリー
構造に進化を遂げた函館駅通路は自転車を押すにも快適で、
あっという間にホームへ。
車内ではJR側からの参加者の説明に従って各自、座席の
ひじ掛けにベルトで自転車を固定した。意外とこれが丈夫
で、走行中も自転車ががたつくことはなかった。
途中、七飯駅からも参加者が合流し、参加者同士で会話も
はずむうちに列車は目指す大沼湖畔へ。流山温泉駅で下車後、
FTWのメンバーが引率する形で2班に分かれて湖畔一周の
サイクリングに出た。この日の駒ケ岳は真っ白な霧の彼方
だったが、静寂に包まれた湖畔はどこか神秘的で、真夏
とは思えない涼しげな世界が広がっていた。
団体だったので、寄り道はあまりできなかったが、途中には
牧場や、ちょっと気になる神社や脇道、おいしそうなレストランや
カフェも。これなら鉄道で出かけて一日、寄り道しながら
自転車で旅するのも良さそうだ。
無事、流山温泉へ戻り、入浴後、自然食のバイキングで昼食。
もともとおいしい料理だが、サイクリングを楽しんだ後の
一品一品のおいしさはひときわ。大満足のうちに帰りの時間
を迎えた。
帰りは函館駅到着後、自転車を押したまま、改札口から堂々
の下車となった。突然現れた自転車の一団に、夏休みの帰省
客らから、一斉に驚きの視線が向けられた。
今回のツアーを企画したFTWの彼女たちは、10月にも中東へ
向けて出発するという。石油を巡る争いが長年の戦乱の要因
の一つともいわれる現地へ向かうにあたって、地元で省エネ
型の ツアーを実施してくれたことはとても、意義あること
だと感じた。渡航の成功と、全員無事な帰国を願いたい。
また、帰りの車内では、JRの担当者から今後の希望の行先
などを尋ねるアンケート調査があった。中には札幌やニセコ
などの遠隔地もあり、今後の展開次第で、特急列車などへの
自転車持ち込み実現なども期待したい。
そのうち路面電車やバスでも、自転車で利用できるように
したいな、と私も今後の夢を抱きつつ、帰路へのペダルを
こぎ出した。
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タグ:鉄道 自転車