世界が函館市電に注目 !! 函館で開催された交通環境会議

  デンマークのコペンハーゲンで開催された、国連気候変動
  枠組み条約第15回締約国会議(COP15)は、残念ながら先進国
  側と途上国側の根深い対立で、大きな前進が見られないまま、
  閉幕となった。

  温室効果ガス削減へ向けた道筋が描けず、温暖化問題への
  対策の遅れが危惧される。

  中でも自動車や航空機などを抱える交通分野は、対策の必要
  性が高い重要な分野である。それでも、ただでさえ高速道の    レトロ電車に掲出された国際会議の歓迎文
  値下げや無料化を推し進めようとしている日本・北海道の現
  状で、温暖化防止に向けた世界での先導役を期待するのは無
  理な話なのだろうか。

  しかし去る6月、かすかな希望を感じさせる出来事があった。
  こうした課題に一石を投じる政府間国際会議が、函館を舞台
  に一度に二つも開催されていたのだ。

  一つは「第7回日本・東南アジア諸国連合次官級交通政策会
  合」(以下ASEAN会議と略)、もう一つは「交通分野における     駒場車庫に到着した会議の参加者たち
  地球環境・エネルギーに関する高級事務レベル会合」(以下
  国際会議と略)である。

  6月16日~18日までの日程で、函館市内のホテルを会場に行
  われたASEAN会議には、ASEAN諸国からベトナム・タイ・シン
  ガポールなど10ヶ国が、国際会議の方にはこれらに加えて、
  アメリカ・欧州諸国・韓国など計21ヶ国と11の国際機関・団
  体が参加し、両会議合わせて約100人もの参加者が函館を訪
  れる大規模なものとなった。

  会議では交通と環境問題について、各国間での情報の共有や、
  公共交通の利用促進、人材の育成、途上国支援などが熱心に
  話し合われたほか、地元を代表して函館市長が、函館の交通
  の現状についてスピーチした。

  中でも函館市電については、年間約640万人が利用している
  こと、5分間隔の運行で利便性が高く、環境にも優しいこと
  などの点を挙げて詳しく紹介され、参加者の注目を浴びた。
  このほか、新幹線新函館延伸の計画についても紹介された。

  参加者の市電に対する関心は高く、この会議中だけに留まら
  なかった。翌日にはバスを連ねて、市電の駒場車庫を大挙訪
  問した。

  幸運にも、私はそのすぐ近くに居合わせることができたのだ
  が、参加者たちが純国産初の低床市電でもあるLRVらっくるや、
  北国には欠かせないササラ電車、日本名物?カラオケDVDを搭
  載した貸切車「アミューズメントトラム」など、函館市電自    LRVらっくるを前に説明が行われる
  慢の各車両や施設を次々と見て周るその一部始終を垣間見る
  ことができた。

  どの顔もこれまで見たことがない日本の最新路面電車システ
  ムと、それを支える現場を知ろうと興味深々の様子で、楽し
  げな雰囲気の中にも、何かを吸収しようとする思いと熱気が、
  見ているこちらにまでひしひしと伝わってきた。

  北海道の市電に国際視察団が訪れたのはおそらく、史上初め
  てのことではないだろうか。世界にもアピールできる環境型
  交通を地元にと活動してきた私にとっても、感無量の光景で     いよいよらっくる車内を視察へ
  あった。

  そして早速、その成果は嬉しい発言となって表れた。会議翌
  日の北海道新聞函館版によれば、ベトナムからの参加者が当
  日のらっくる号の視察を、首都ハノイに建設予定の新市電路
  線に活かしたいと話したという。

  この事例は国内のみならず、アジアを中心に国際的にも知名
  度がある函館・北海道で、環境配慮型の交通まちづくりを推
  進すれば、世界の環境政策にも好影響をもたらせる可能性が   続いてアミューズメント トラムの説明が   
  あることを示している。

  それでも現在の函館の取り組みは残念ながら、まだまだ十分
  とはいいがたいのが現状だ。こうした会議が開催されたこと
  自体が市民にさえ、あまりよく知られていないうえ、その成
  果を受けて、交通体系をより、環境に配慮した形にしようと
  いう動きも表面上はまだ、見られない。

  それでも来年にはLRVらっくるの2号機が登場し、新幹線の新
  青森開業も控えている。観光客の減少が続き、今後は人口の   日本の不思議なカラオケ電車に興味深々
  減少も本格化する中で、どのような方向性の地域を目指し、
  その中に環境型交通をどう位置づけるのか。函館市と市民双
  方にとって、今後の課題といえそうだ。

  今年最後までご覧いただき、ありがとうございました。

  皆様によいお年が訪れますように。

  来年もどうぞよろしくお願いいたします。

  国土交通省ホームページ
  http://www.mlit.go.jp/

  ※函館の両会議の概要・結果をご覧になりたい方は、トップ
   ページ上の検索欄に「函館 国際」などの語句を入れてみ
   てください。
タグ:函館 市電

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